トヨタとテスラ 2020 10 4
先日、ショッピングモールの中に、
コイデカメラが出店していて、
レトロな雰囲気を感じたので立ち寄ってみたところ、
なんと、写真用のフィルムを売っていたのです。
富士写真フイルムとコダックのフィルムでした。
「懐かしい思い」と「悔しい思い」が交差して、
私も年を取ったものだと、つくづく思いました。
あれは、いつだっただろうか。
富士写真フイルムから初めて普及版のデジタルカメラが発売されたのは。
実は、普及版の日本初は、カシオだったらしいのですが、
私は「普及版では日本初」と勘違いして、
デジタルカメラを買うために、仕事が終わるのが待ち遠しく、
夕方、急いで「Sofmap」に買いに行ったものでした。
しかしながら、実際に使ってみると、
がっかりすることや落胆することが多かったのです。
カメラの画素数は、35万画素でした。
写真データをパソコンに取り込んで、
プリンターで印刷すると、画質の粒子が荒く、
とても写真には使えない代物でした。
名刺サイズで印刷すれば、なんとか粒子が目立たない程度でした。
私の「デジタルカメラ熱」は、すっかり冷めてしまい、
フィルムカメラへ逆戻りしたのです。
しかし、デジタルカメラの大躍進は、そこから始まったのです。
35万画素が100万画素になり、そこからは急激でした。
あっという間に300万画素、500万画素、700万画素になってしまいました。
こうなると、デジタルカメラで撮影しても、
ポスターサイズの印刷でも、問題がないレベルになったのです。
写真フィルム分野で、優良企業だった富士写真フイルムは、
名称を「富士フイルム」に変えて、日本有数の精密化学メーカーとなり、
世界的な優良企業だったコダックは、2012年倒産しました。
20世紀末から21世紀初頭にかけて、劇的な企業環境の変化でした。
実は、デジタルカメラを発明したのは、なんとコダックだったのです。
しかし、私が「デジタルよりもフィルムのほうが画質が良い」と思ったように、
コダックの経営陣も、そう思ってしまったかもしれません。
もし、今から30年後、電気自動車が普及して、
ガソリン自動車が「レトロなマニア向け」のクラシックカーになってしまったら、
自動車業界は、とてつもない地殻変動です。
実は、自動車業界には、もうひとつの地殻変動があります。
それが「自動運転ソフトウェア」です。
PCと車 2020 1 19
昔話をしましょう。
1980年代の後半において、
NEC(日本電気)は、コンピューター業界において、
日本どころか、世界においても存在感がありました。
パソコン業界においては、王者と言えたでしょう。
当時のパソコンといえば、NECのPC98シリーズでした。
PC98シリーズの市場シェアは、9割を超えていたと思います。
そのため、ソフトウェア業者は、
PC98仕様でソフトウェアを開発していたのです。
しかし、風向きが変わるのは、
「Windows」というOSの登場です。
Windowsが動けば、
パソコンというハードウェアは、
どこのメーカーでもよいということになったのです。
ソフトウェアは、Windows上で動くからです。
こうなると、中小のメーカーでも、
パソコンというハードウェア市場に参入できて、
実際に、中小業者が大手企業になった事例があります。
Windowsという共通の土台を作った結果、
パソコン業界は、劇的な変化がありました。
そもそも、パソコンという規格を考えた「IBM」が、
パソコン業界から撤退するという衝撃的なニュースもありました。
Windowsという共通の土台がなかった時代は、
ソフトウェアは、ハードウェアのオマケという存在だったのです。
つまり、ハードウェアメーカーが主役、ソフトウェア業者は脇役だったのです。
今や、その立場は逆転して、ハードウェアメーカーは従属的な存在になりました。
さて、自動車業界も、その可能性があります。
自動運転ソフトウェアが、「Windows」のような存在になれば、
自動車メーカーは、従属的な存在になります。
つまり、自動車業界における「マイクロソフト」が出現するでしょう。